クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いとは?

自主的、主体的に動ける人財の育成が昨今重要とされていますが
組織作りにおいても自主的、主体的に動ける組織作りが注目されています。
様々な書籍やセミナー、研修がありますが
弊社でも要望が多くなってきました。
クリティカルシンキングは批判的思考とも呼ばれますが
ロジカルシンキングというものもあります。
ロジカルシンキング=論理的思考は聞いたことがあるかと思いますが
両者の違いは何でしょうか?
また、最近ではティール組織といった現場が自主的、主体的に動く組織作りも
進められていますが、まずはこのクリティカルシンキングを
しっかりと学ぶ必要があります。
今回は

・理解と実践の違い
・主体的に動くためには?
・同じ学びにも違いが出る理由
・論理的思考は完璧か?
・論理力とは?
・クリティカルシンキングに必要な事
・改善のために必要な思考方法

といった基本的なことをお伝えします。

理解できることと実践できることは違う

3日坊主という言葉がありますが
あなたも少なからず3日坊主で終わってしまったことが
あるのではないでしょうか?
もちろん私にもあります。
例えば健康づくりのために毎日ランニングしようと思っても
続かないことはよくあります。
健康づくりや体力をつけるためにランニングをすることは良いことです。
これは多くの方が「そりゃそうだろう」と同意すると思います。
ではなぜ実践できないのでしょうか?
気合が足りないのでしょうか?
根性が足りないのでしょうか?
「気合が足りない!明日こそ走ろう!」と思っても
なかなか玄関のドアを開けるのはつらいものです。

手前みそで申し訳ありませんが、私は昨年からランニングを続けていて
昨年はハーフマラソンを完走し、今年はフルマラソン完走を目標にしています。
最初は3㎞でバテバテで足もガクガクでした。
コロナ禍で運動不足になるから運動をしないと
というキッカケでしたが、なぜ3㎞しか走れない私が
ハーフマラソン完走までいけたのでしょうか?

課題を自ら設定できなければ主体的に動けない

私はランニングを始める際に「どうやったら続くのか?」を考えました。
私は熱しやすく冷めやすいタイプなので、ただランニングを始めるだけでは
3日坊主で終わるのは目に見えていました。
そこで考えたのが「走らざるを得ない状況をどうやって作るか?」でした。
・18時になったら必ず走る(夏は6:00に変更)
・走らない限りシャワーを浴びてはいけない
・5㎞以上は走らない(現在は変更)
・仕事で外出した際は、帰りは必ず走って帰る

今はかなり変更しましたが、当初はこんな感じだったと思います。
特に帰り道は走って帰る、効果的でした。
ただし、これだけでは続けるのは難しいです。
さらに考えたのが
・体を絞ることによって見た目が変わる
・研修中も足が痛くなることも無くなり、声も出るようになる
・実践することにより、自分の言葉の説得力が変わる
と、将来の影響も意識していました。

ランニングを続けることによってハーフマラソンにチャレンジしよう
ハーフマラソンを完走できたからフルマラソンにチャレンジしよう、と
今は当初とは目標設定がかなり変わりましたし
フルマラソンに挑戦するためにダイエットも続けています。

つまり、3日坊主で終わってしまうのは、あなたの意志が弱いわけでも
根性が無いわけでもなく、課題設定と仕組みづくりの問題なのです。

同じ体験をしても違いが出る

毎回研修の最後にアンケートのご協力をいただいております。
基礎的な内容の研修だと面白い違いが出ることがあります。
「たくさんの学びがあった」
「すでに知っている内容だった」
と、違いが出ることがあります。
どちらの感想も正しいのですが、なぜ違いが出るのでしょうか?

どちらが良い悪いということではなく
どちらも正しいです。
しかし「たくさんの学びがあった」と記入している
社員の方は担当者に方に聞くと
将来を期待されていたり優秀な社員の方が多いです。

こういった方の「知っている」というレベルは非常に高く
学ぶ視点が広く、深い洞察力があります。

論理的であることは必要十分条件ではない

「交通ルールを守ろう」
「人には優しくしよう」
「健康には気を付けよう」
こう言われて反論する人は居ないと思いますが
「言われなくてもわかってるよ!」
と言いたくなると思います。
では、論理的に破綻しているかというと
論理的には正しく伝えています。

あなたの周りにも居るかもしれませんが
「言ってることは至極もっともだけど、どうすればいいの?」
「批判ばかりで、対案が無い」
「具体性が無くて評論家のようだ」
という方。
論理的に正しいことは無限にあります。
ロジカルシンキングだけだと、このような罠にはまることがあります。
重要なのは「前提を考えベストな答えを導き出すこと」です。
論理的に正しくとも、使えなければ意味が無いのです。
つまり、具体的にどんな行動をするか?まで考えなければ
実践にまで繋がりません。

評論家と揶揄される方は、正論は振りかざせるのですが洞察力が足りないのです。
つまり、想像力が足りず、見えない前提や課題に気付く力が無いのです。

論理力とは?

論理的思考だけでは思考の罠に陥る、とお話ししました。
では論理力とはなんでしょうか?
今までの内容を振り返ると、次のように表すことができます。
「問題や課題に気付き、分析と解決策を正しく考えたり整理する力」
と言えます。
単に論理的思考を身につけただけでは全く役に立たず
判断材料と具体的な選択肢を自ら考えないと正解は出せません。

具体的には、自ら前提を把握し、その前提から考えられる課題や問題
そのものを自分で考えたうえで、仮説を立てて解決に向けて行動する
ということを実践する必要があります。

これには普段から無意識で行っていることを意識して
何気なく行ってきたが問題は無いか?改善点は無いか?
と、考える癖を付けることで鍛えることができます。
これは、普段から意識している人と意識していない人とでは
将来、雲泥の差が付くことになります。

私は小さいころ、よく父親に
「やりもしないで出来ないって言うな!」
と、よく叱られました。
そのため、一瞬無理難題だ、と思っても
「どうやったらできるのか?」
「結果はどうなれば良いのだろうか?」
「とりあえずできることは何だろうか?」
と考える癖ができました。

父親の教育のおかげか、以前勤めていた社長から
「本質を見抜く能力がお前にはある」
と言われました。
普段何気なく行っていることも
「より良い方法は無いか?」
「このまま続けて問題は無いか?」
といったことを考えることが論理力を鍛えることに繋がります。

クリティカルシンキングは「批判的思考」と訳されますが
これは他を批判する、ということではなく自分の思考を批判的に考えるということです。

自分の中に柱を作ることが必要

色々な選択を日々していく中で、前提を考えることが必要となりますが
その際に重要なのが
「何を重視すべきか?」
ということです。
選択をする際に選択肢を色々と考えると思いますが
選択肢を列挙することは難しくなりません。

その挙げた選択肢について、どれにフォーカスするのか?が重要であり
さらに「どの選択肢の組み合わせがベストか?」を考える必要があります。
また、全て丸く収まる選択肢はありません。
大抵は、こちらを立てればあちらが立たず、という結果になると思います。
選択肢を考えるうえで重要なのはメリット、デメリットを考え
どの選択肢または組み合わせがベターなのかを考えることです。

自分を主役にした提案ができるか?

上司のここがダメだ、会社のここがダメだ
こういった話はよく聞きます。
しかし、こんな愚痴をこぼして状況が良くなったという話しは
私は聞いたことがありません。
ロジカルシンキングで言えば、恐らく正しいのでしょうが
先ほどもお伝えした通り、具体的な行動には繋がりません。

具体的な行動を考えるうえでコツがあります。
それは自分を主語にして話すことです。
「自分に何ができるか?」
「自分は何をすべきか?」
こういった形で考えると、自分の行動指針を考えることができます。
上司や会社を変えることは、ほぼ不可能です。
しかし、自分が行動する分には自分次第です。
それに恐らく相手を変えるよりストレスも小さいでしょう。

必要なのは知識や経験を覚えることではなく、それを実践することです。
これには年齢や経験は関係ありません。
むしろ固定観念が無い新入社員の方がすんなりできたりします。

まとめ

知識や経験ではなく、自分の頭でゼロから前提を考え仮説を立て
そこから組み立てられる論理的な展開を通して答えを導き出せるか?
ということです。

常に自分が無意識で行っている行動を批判的に考えてみてください。
論理力はどんどん上がっていきます。

投稿者プロフィール

中山 大輔
中山 大輔株式会社アーシブ 代表取締役・日本メンターコーチ協会 認定コーチ
11 年間会社の総務人事担当者として、労務管理や社員教育などを担当。
株式上場チームにも所属し、その際、内部統制構築、内部監査
子会社統括管理の担当者となる。
その後、研修会社に転職し日本全国で延べ2,000 時間以上の社員研修の実施に携わる。
2016 年に株式会社アーシブ設立。
リーダーシップやマネジメントの企業研修講師を行い
介護施設の離職率を20%から6%に下げ
ホテルでは新入社員の離職率が50%前後だったのを1年で11%
2年目は7%にするなどの成果を出している。

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